不貞行為で慰謝料が高額になるケース

文責:所長 弁護士 岩崎友哉

最終更新日:2025年04月28日

1 不倫慰謝料が高額になり得る5つのケース

 不倫慰謝料は、精神的損害という形のないものに対する賠償金ですので、再調達可能な物を壊された場合のような明確な算定基準はありません。

 ただし、実務においては相場が存在し、数十万円~300万円程度とされています。

 慰謝料の相場に大きな幅がある理由は、金額を変動させる要素が複数存在するためです。

 今回は、不倫慰謝料が高くなる可能性のある、次の5つのケースについて説明します。

 ①不貞行為の時点における婚姻期間が長い

 ②不倫の期間が長い・不貞行為の回数が多い

 ③不貞行為の時点における夫婦関係が良好であった

 ④夫婦間に年齢が低い子どもがいる

 ⑤不貞行為が原因となって離婚や別居に至っている

2 不貞行為の時点における婚姻期間が長い

 不倫慰謝料は、不倫をされた側の配偶者が持つ、平穏な夫婦生活を送る権利が侵害されたことに対して発生するものです。

 一般的に、平穏な夫婦生活は長年の積み重ねによって形作られていくものとされています。

 婚姻期間が長い場合ほど、不貞行為による権利侵害の程度も大きくなると言えることから、不倫慰謝料が高くなる傾向にあります。

3 不倫の期間が長い・不貞行為の回数が多い

 裁判例などによれば、不倫の期間(不貞行為に及んでいた期間)が長いほど、不倫慰謝料も高くなる傾向にあります。

 不倫の期間が長い場合、不倫をされた側の配偶者の権利を侵害する不貞行為の回数も多くなる傾向にあります。

 このことから、不倫慰謝料が高くなる要因となり得ます。

4 不貞行為の時点における夫婦関係が良好であった

 先に逆のケースを説明しますと、不倫以外の理由によってもともと夫婦関係が悪化していた場合には、平穏な夫婦生活の侵害の程度が低いといえますので、不倫慰謝料が低下する傾向にあります。

 不貞行為があった時点における夫婦関係が良好であったならば、それだけ不倫慰謝料が高くなります。

5 夫婦間に年齢が低い子どもがいる

 夫婦の間に、年齢が低く養育を必要とする子どもがいる状態で不貞行為に及ぶことは、家族の生活を侵害した度合いが大きいといえるため、不倫慰謝料が高くなることがあります。

6 不貞行為が原因となって離婚や別居に至っている

 不貞合意が原因となって離婚や別居にまで至ったということは、平穏な夫婦生活を送る権利が完全に失われたということです。

 そのため、不倫慰謝料が高くなる傾向にあります。

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